メルディの日常
▼コップ様リクエスト作品、キールの日常続編。
いつもと変わらないアイメンの朝。
メルディの1日は、キールを起こすことからはじまる。
「キール朝よ、早く起きるな。はよぅはよぅ!」
「メルディ、もう少し寝かせてくれ。さっき寝たところなんだ」
「Σバイバ! キールまた夜更かしか!?」
呆れながら何を思ったのか、メルディはキールの頭をわしゃわしゃと撫ではじめた。
「………何をしているんだ」
キールは顔だけメルディに向けて尋ねる。
夜更かしでいつもより頭がぼさぼさなので、追い討ちをかけられて少し不機嫌そうだ。
「キールは賢い良い子です」
「なっ!」
メルディは百万ドルの夜景ならぬ、百万ドルの笑顔を向けながらキールの頭をわしゃわしゃを撫で続ける。
キールはその笑顔に思わず真っ赤になる。
「ぼ、僕の頭はクィッキーじゃないぞっ」
キールは照れながら自分の頭を撫でているメルディの手に視線を移す。
あまりにわしゃわしゃと撫でられるので、キールの頭は更に凄いことになりつつあった。
「それはそうよ〜クィッキーはもう少し素直です」
「……それは僕が素直じゃないと言いたいのか?」
「Σバイバ! どうして分かったよ、キールが超能力!?」
「誰だって分かるだろ……」
素直じゃないと遠まわしに言われたキールは、結構真面目に凹む。
自分でもある程度は分かってるつもりだが、メルディに、(遠まわしだが)“素直じゃない”と言われたのだからしょうがない気もするが……
「……キール? もしかして凹んだか?」
「そ、そんな訳ないだろ、僕はいたって普通通りだ」
内心では心に矢が刺さったままのキールだが、凹んでいてもキールはキール、やっぱりメルディの前では強がってしまう。
「…………」
そんなキールを見たメルディは“本当か〜?”と疑いの目を向ける。
そんな目で見られると色んな意味で苦しいのがキールだ。
「……参ったな、そんな目で見るなよ、お姫様」
しばしの沈黙。
「…………キ、キール? だ、大丈夫か……?」
キールのいきなりの豹変振りに流石のメルディもビックリなご様子。
熱でもあるんじゃないかと思ったメルディは“だ、大丈夫か?”とか言いつつ手をキールの額にあてる。
「熱はない、風邪でもないし病気でもない。姫に心配してもらえるなんて光栄だね」
そういうとキールはにっこりと笑った。
そして額に当てられたメルディの手を握ると……
握ると……
………
……………
「おい、メルディ。今何時だと思ってるんだ、さっさと起きろ!」
朝から平和なアイメンに怒鳴り声が響く。
声の主は、同じ家に住む少女を叩き起している最中だ。
初めはドアを叩いて起こそうとしていた声の主キールだが、なかなか起きないメルディにどっかの袋の緒が切れたのだろう、
怒涛のごとく、どかどかと少女の部屋に入ると勢いよく布団を引っ張った。
「……むにゃ、キールが大変!! よぅ……」
「何を寝ぼけてるんだ? ほら、起きろ!」
まだ半分(以上)夢の中のメルディは、キールに引っ張られたている布団に、無意識内にしがみついた。
ここで訂正。
そんなメルディの1日は、変な夢とキールに叩き起こさからはじまった(爆)。
* * * * * * * * *
「キールおそよぉ〜」
「あぁ、おそよう。そんな事はいいから早く食べてくれ、片づけられないだろう」
“おそよう”も、どうやらメルディが寝坊したときの日課らしい。
訂正してもキリがないと、キールも学習したようだ。
「わい〜る! 今日の朝食はふわふわケーキか♪」
キールお手製のケーキを見つけるとメルディは嬉しそうに席に座る。
「今朝はお隣さんから貰った新鮮な卵があったからな」
「あそこが鶏は元気いっぱいだよな〜」
「元気なのはいいが、たまにうるさいのが難点だ」
キールも席に座ると、律儀に両手を合わせる。
キールとメルディの家のお隣さんは早朝5時きっかりに鳴く、元気のいい鶏を飼っているらしい。
なんともマメな鶏だ。
「そうか〜? メルディあんまり気にならないけどな」
「それはお前が熟睡してるからだ」
キールは、鶏の鳴き声で睡眠を妨げられると寝た気がしないのだ。
だからだろうか、最近のキールは、就寝時には耳栓を愛用中。
* * * * * * *
「〜♪」
「クィッキー♪」
鼻歌交じりに、踊りながら掃除をするメルディの足元で、クィッキーもつられてジャンプする。
その時。
「Σクィ、キ〜」
メルディに踏まれて完全に伸びるクィッキー。
「Σバイバ!! クィッキー大丈夫か!?」
それに気がついたメルディはすぐさまクィッキーを抱き上げる。
クィッキーは何とか無事生きてるようで、クィッキーは尻尾を振って飼い主に無事を知らせていた。
それを見たメルディは心底安心したようで、クィッキーを自分の肩に乗せた。
「クィッキーはそこで休憩するよ、メルディは静かにお掃除な」
「クキュ〜……」
再び尻尾を左右に振るクィッキー、肯定だろうか?
「そういえばさっきからキールが姿、見えないな……」
「クィ?」
メルディは掃除をしている手を止め、両手で持っていた箒を片手で持つと、
もう片方の手を目の上に持っていき、きょろきょろと周りを見回し始めた。
「キールさんキールさん、キールさんはどこだろな〜♪」
意味もなく歌いだすメルディ。
クィッキーもメルディの歌にあわせて尻尾を左右に振り始める。
結構クィッキーは丈夫だった。
「あ〜、キールがお気に入りのあそこかも知れませんよ、クィッキー少尉!」
「クィッキー?」
なんだかいつの間にやら隊が出来ていた。
クィッキーを少尉と呼びながら楽しそうに話すメルディ。
メルディの思考は凄い。いや勿論いい意味で。
「そういえばキール昨日も夜更かししてたな。メルディちょっと心配……」
「クィッキー……」
“ちょっとだけかよ”って突っ込みはしないで下さい(爆)。
「流石にこう勉強熱心だと、頭がおかしくなるかも知れないな。息抜きが必要! クィッキー、何が何でも休ませるよ」
「クィッキー!!」
今朝の夢の中のキールの豹変振りを思い出したのか、メルディは真剣な眼差しでキールを探す。
クィッキーもつられてか、肩の上できょろきょろと忙しなく首を動かし始めた。
* * * * * * * *
「やっぱりここに居たよ。クィッキー、静かにな」
「クィッキ〜」
遠くから窓辺のキールを見つけたメルディは、こっそり近付こうと思ったのか、何故か匍匐前進。
目指すは窓際に座って本を読んでいるキール、ただ1人である。
匍匐前進で進むメルディを見たクィッキーが、“何故匍匐前進?”と鳴くのはもう暫く後のお話。
〜おまけ〜
「はぁ? なんて馬鹿な夢を見たんだお前は……」
なんとかキールにお茶という息抜きを取り付けたメルディは、今朝の夢の内容をキールに話している最中だった。
心底呆れるているのがキールの声から分かる。
「流石のメルディもあの豹変振りにはビックリよぅ」
お茶菓子に手を伸ばしながらメルディが楽しそうに笑う。
「いや、ビックリってお前な……」
夢の中の自分を想像するだけで鳥肌が立ちそうなキールが、苦笑交じりに答え、紅茶の入ったカップに手を伸ばす。
「でも夢のキールが素直さ、キールに少しだけあるといいかもな♪」
メルディの言葉を聴いたキールは、口に含んだ紅茶を噴出しそうになり、咳き込んだ。
その後キールが頭を抱えたのは言うまでもない。
〜後書き〜
お久しぶりです。
一応管理人やってます、津名勘です(爆)
今回は「メルディの日常」と言うコップ様リクエストで書かせていただきました。
ど、どうでしょうか。内心凄いドキドキなんですが。
初リクエストでしたし。
この続きがキールの日常です。
んで、おまけはキールの日常後、お茶をしてるって感じで。
初めて読んだ方は分からないかも知れません。
こんな話が繋がってる小説ばっかですいません。
でもこれが津名式スタイルなので割り切ってください(爆)
よく小説とかでも完結した話の登場人物を新作に出す作家さんが居ますが、
あれって書いてるほうは楽しいんですけど、集めてるほうは堪ったもんじゃないんですよね。
新作から買い始めて、前作の登場人物が出てたら気になる人もいる訳で。
全部読まないと気になってしょうがない! って性格の人間にはちょっとした拷問ですよ。
ちなみに、そんな性格なのが津名です。
それなのにリンクさせてどうする(爆)
あと、もう1回書きますが。
初めの話はメルディの夢です、現実ではありません。
かなり分かり難いかと思いますが……
キールが壊れてます、書いてる本人いろんな意味で爆笑でした。
有得ない、すげぇ有得ない!! キールが! あのキールが!?
姫とか言ってる、姫とか!! どっかのシュミレーションゲームかよっ!? って感じで。
実を言いますと、このキールはマシなほうです。
初めの設定はもう少し積極的だったんですよ(爆)
まぁ、夢オチだからいいや。ってノリであぁなりました。
(もっと積極的キールはもう残ってませんがね…削除済み)
キールさん変にしてすいません。
まぁ、積もる話はあるんですが1番言いたいことはですね。
すいませんでした、遅くてすいません。
筆が遅いんです、書くときは書くんですが(爆)。
まぁ、更新が遅くなりましたが、少しでも読んで、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
リクエスト受けたのが丁度12月1日なので約2ヶ月ですね。
本当にいやはや(^^;)
では、ここまで読んでくださった方々。
本当に、ありがとうございました(土下座)
ではいつの日か、次回まで〜(爆)
UP時期:2006/1/27