晶霊温泉 戦の巻(完結)
▼コップ様リクエスト作品。
「キール! 湯上りは麦茶よぅ」
「はぁ?」
風呂上りで読みかけの参考書を読んでいたキールの前に、
満面の笑顔のメルディが麦茶片手に駆け寄ってきた。
いきなりの『麦茶攻撃』にクエッションマークを頭に浮かべるキール。
そんなこんなで始まりました戦の巻。
前回までのあらすじ。
リッドがヘチマ戦士となって女湯に潜入。
しかし、案の定ファラに返り討ちに合いキールに助けを求める。
キールの力を借り、再び潜入を試みるリッド達。
この勝負の決着はいかに!!
「とまぁ、冗談はさておき。良い湯だったなあ」
今日はここに泊まる予定なリッド達は、
浴衣を着用して風呂場横の休憩スペースで椅子に座ってくつろいでいた。
リッドは晩御飯が気になってしょうがない様子で厨房の方をチラチラの覗き見する始末。
それを横目で呆れながら見るファラと、麦茶麦茶連呼してキールに迫るメルディ。
メルディの浴衣姿を見たキールは、
メルディの話の内容が浴衣姿のせいでいまいち理解できない様子。
「えー……と、だな。つまりはインフェリアでは牛乳だが、
セレスティアでは麦茶だといいたいのか?」
「はいな! 流石キール容量がいいな〜♪」
容量の問題でもない。
「それで? 言いたいことはそれだけなのか?」
「はいな!」
元気一杯に断言するメルディ、
それを聞いたキールは顔を隠すように本を読み始め、読書を再開した。
それを見たメルディは口を突き出し、不服な顔をしながらブーイングの嵐。
「折角の温泉なのにキールは読書ばっかり!
それは変よぅ、温泉といえばアレだなアレ!」
「アレ?」
『アレ』というキーワードに興味を持ったのか、
キールは本から少し顔を出しメルディに聞き返した。
キールが話題に食いついてきたのが嬉しいのかメルディは誇らしげに胸を張る。
「おぅ! アレだな、アレ」
「そうですね、人数も居ますし丁度良いですね」
そこにフォッグとチャットも加わる。
「はいな! アレしかないよぅ」
人差し指を立てて3人瞳で語り合う。
流石セレスティアン、珍しく息がピッタリである。
「アレとはなんだ? 気になる言い方だな」
「喰えるのk……ぐはっ!」
「そうだね〜、アレってなに? やっぱり卓球?」
リッドのお約束な発言に横のファラは笑顔で横腹に肘鉄をねじ込んだ。
リッド、お前の頭はそれしかないのか。
「そうですね、折角の温泉です。ここは1勝負……」
チャットがスッと手を上げた。
「わいーる、メルディの勝ち☆」
「攻撃返しって反則だろ!」
「攻撃返しはちゃんとした戦法です、インチキではありません」
「リッド、いちいち五月蠅いぞ」
一同休憩スぺースにて丸く座り込み、ウィスを始めていた。
1勝負のはずがもう5勝負くらいやっている。
手始めに軽くプレイしていたのだが
プレイしている間にやっぱりというかなんと言うか、夢中になる一同。
「やっぱり納得いかねぇ、もう1回!!」
「リッドさん、そろそろ負けを認めてはどうですか?」
手持ちのカードを投げ捨てながら叫ぶリッドに、
やれやれと呆れながら余裕に笑みで答えるチャット。
流石セレスティアンはウィスに強いらしい、踏んできた場数が違う。
「何度やっても奥が深いねー、攻撃すればいいってものじゃないんだもん」
さっき攻撃して返され、危く自分のところに戻ってくるかもヒヤヒヤしていたファラが
カードを見詰めながら苦く笑う。
「ゲームと思って甘く見ると酷い目に合うな、これは頭脳戦に他ならない」
このメンバーの中では早く抜けたキールがリッドを嘲笑う。
「とにかくもう1勝負だ、メルディ配ってくれ」
「はいな! メルディにお任せあれ〜♪」
皆のカードを一纏めにしてメルディがリズムカルにカードを切り始めた。
「では、もう1勝負です。皆さん手加減話ですよ?」
「手加減したくても出来ない奴がいるけどな」
「うるせぇ、キール負かす!」
「あらら、珍しくリッドの闘志に火がついちゃったね」
ファラが笑った。
それにつられてキールも笑う。
ウィスは皆を笑顔にするな! と思いながらメルディも笑った。
一同が夢中になっている間に、いつの間にやら他の温泉客も集まり、人だかりになっていた。
ウィルがインフェリアに普及する日も、そう遠くはないのかもしれない。
〜後書き〜
コップ様リクエスト作品、晶霊温泉シリーズ完結です。
リクエストして頂いて何気に1年半以上お待たせ致しました事をお詫び申し上げます。
ちょっと時間空きすぎですね、スイマセン;;
分けなくても良かったかな…ちょっと後悔(_ _;;)
思いの他短くなってしまったorz
いつも以上に短いですが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
UP時期:2006/5/31