秋。


木の葉色づく秋。


食欲の秋。


芸術の秋。


読書の秋。


* * * * * * * * * * * 


 ダオスを撃破し、元の世界に戻ってきたクラースは、いつも通り熱心に研究に取り込んでいた。
 季節は秋。
 クラースは秋があまり好きじゃなかった。
 秋はいい事ばかりじゃないからだ。

「……………………………」

 洗面所にて、クラースは真剣に髪の手入れをしていた。
 秋、クラースの嫌いな秋。
 抜け毛の秋。

「……………………」

 秋の毎日の日課になっている頭皮マッサージと髪の手入れを、とても真剣にしているクラース。
 これが髪と頭皮の手入れじゃなければ普通の研究熱心な召喚術研究家なのに……これではただの中年だ。
 そんなクラースの様子を見飽きてきたミラルドが部屋のドア付近から呆れたように声をかける。
 ドアって言ってもこの家ドアなんかありましたっけ? よく覚えてない作者である。

「クラース、またやっているの?」

「煤I!」

 相当びっくりしたのか、クラースの肩が跳ね上がる。
 そして、何故か恐る恐る後ろを振り返る。

「ミ、ミラルド! いきなり声をかけないでくれ」

「声をかけられて、そんなに驚く事をしない!! まだクラースは髪の毛の心配なんかしなくてもふさふさでしょ?」

「いや、私ももう歳だし……」

「まだ20代!! って言い張ってたのはクラースでしょ!!」

 ミラルドは、つかつかとクラースに歩み寄ると勢いよく クラースの頭を叩いた。
 手にはなにやら紙袋が握られている。

「そんな今しても意味のない事するなら、ちょっとは今自分のするべき事をしなさい!」

「意味がない訳ではない! 今髪の手入れをしていれば、きっと将来もふさふさでアーチェに馬鹿になんかされないぞ!」

 『将来も』と言っているあたり今もふさふさな自覚があるらしい。
 アーチェの言葉を密かに気にしていたクラースだった。

「またそんなふざけた事を……」

「ふざけたことではないぞ、私には死活問題だ!」

「髪の毛で生死を決めたら某筋肉マッチョはどうなるのよ、つるつるよ? てかてかよ!?」

「いや、テカッてはいないと思うが……」

 呆れたように、溜息をしながらミラルドは手に持っていた紙袋をクラースに差し出した。
 クラースはなんだこれは……? と不思議そうに紙袋に視線を移した。

「クラース、髪は手入れしすぎると頭皮が痛んで抜けるのよ?」

「!!?」

 どうやら知らなかったらしい。
 ミラルドは更に呆れながら、ショックを受けているクラースの手に紙袋をそっと乗せる。

「手入れはやめて、明日からはこれで我慢。それに、手入れなんかしなくても最近ではいいカツラがあるんだから……」

 はたから見たら凄くいい感じな雰囲気だが、話題はあくまで髪の毛とカツラだ。
 クラースは受け取った紙袋をそっと開けてみると、中にはローズマリーと書かれたお茶の葉が入っていた。

「ローズマリーは脱毛に悩む頭皮を改善して、髪の成長を促進させる効果があるらしいの。
 だから毎日このお茶を飲んでいればきっと将来もふさふさ! おまけに記憶力もアップするという優れたお茶よ」

 なんだか自慢げに話すミラルドを見ながらクラースは思わず、ぷっと噴出した。
 それに気が付いたミラルドが憤慨する。

「誰のためだと思ってるの!!」

「いや、すまん。さっそく飲ませてもらうよ。ありがとう」

「どういたしまして」

 少し機嫌が悪いミラルドに心の中で謝りつつ、クラースは台所に向かって歩き出す。



 なかなか秋も良いものだ。と心から考え直したクラースだった。





―後書き―
最近短いなぁ〜と思いながらUPしてる津名です。
すいません、駄目な頭で。1ページってどうよ?(爆)
しかも微妙な感じ、なんか出来が悪いと思ってたのが結構(思い込み)面白かったと意見が……
小説って難しい!!

にしてもアーチェってクラースの事ハゲって言ってましたっけ?(致命的)

言い訳しますと津名はTOPは全クリしただけでサブイベント、全く 全然 さっぱり やっていません。
すず? あぁ、なんか罠にかかってた人ね。程度ですよ(酷)
温泉? そんなのあったの? 程度ですよ。
アーチェさんがハゲ言ってなかったらハゲって言ったことにしといてください(最悪)

抜け毛の秋ですが、なんだか女性のハゲも深刻とか。
皆様もお気を付けを。何気に津名は結構ヤバイです(爆)

キャラについてはもう覚えてないのでぼろぼろだったりしますが、まぁ笑って許してください(爆)

毎回最後まで読んでいただきありがとうございました。
日々精進、頑張ります。


UP時期:2005/10/21